「お願い、行かないで!」 延ばした手が空を切る。 目覚めればそこは自分のベッドの上。 いつもみるのは同じ夢。その結末が変わることはない。 それを認めたくなくて、私はきつく目を閉じる。 暗い部屋にいるのは私一人きり。 ついさっきまで夢の中で側にいた、あの優しい笑顔を見ることはもう二度とないのだから。 生まれた時からいつも一緒だった私の半身。 ある日突然逝ってしまった、魂の片割れ。 あの時から私の心は半分もぎ取られたまま、今も痛みに呻いている。 あなたはあの時、私に何を伝えたかったの? その言葉は永遠の謎。 会いたい、会いたい、会いたい… 叶えられない望みが唇から零れ続ける。 「一人でさっさと行っちゃって。置いていくなんてずるいわよ、麻実」 空元気で毒づいても、こみ上げる想いに喉が塞がれ声が震えてしまう。 閉じたままの瞼から涙が伝い落ちる。 どんなに夜を重ねても、この哀しみが癒されることはないのだろうか。 少女のまま時を止めた双子の姉、麻実。 あなたが恋しくて…切なくて、寂しくて、そして苦しいよ…。 HOME |